2016年1月25日月曜日

全員参加の授業をめざそう!

小学校教諭のY・Sです。

 どの学級にも必ず勉強が苦手な子(できない子という表現を私は使いません)がいるものです。そのような子が45分の授業時間,黙って座っていることの方が不自然です。だから当然,騒いだり周りの子にちょっかいを出したりと,教師にとって邪魔な行動をとります。また,理解のはやい子は,もう今日の授業の答えなど分かっていて,問題を提示すると指名されないのに答えを言ってしまって,教師を困らせることもあります。
 では,どうしたら学級の児童全員が参加し,どの子も満足できる授業ができるのでしょうか。
 まず,授業の導入を工夫します。例えば前の学習内容の復習になるような簡単なクイズを出します。この時に発言させるのは勉強が苦手な子です。または,「実は先生昨日ね…」などと,教師の体験談を授業に結びつけて話し始めます。この教師の体験談(いわゆる脱線)を子どもはとても喜びます。算数のかけ算の授業であれば,「先生昨日スーパーで70円の○○を3こ買ってね,…」などという話から「何十のかけ算」の授業に入っていきます。
 課題を提示したら見通しを持たせます。どんな解決方法が考えられるかを短い時間で共有します。そしてめあてを決めて板書します。この段階でもう集中力のきれた子にはそれを読ませて“褒めます”。集中してないから読ませたのではなく,読んでほしかったことを伝え,「ありがとう。」といって授業に惹きつけるのがひとつのコツです。
 課題解決の場面では,全員が考えているかどうかを確認します。机間指導(巡視)をしながら,まず,できている子を褒めていきます。次は解決につまずいている子に支援します。ここで大切なことは,何気なく支援することです。なんとか分からせようと教師がその子に集中してしまうと,他の子どもたちがざわざわし出します。そして,誰よりも支援されている子がいやな思いをします。何故だか考えてみてください…。私はそっとヒントをノートに書いて次の子の支援に行くことが多いです。
 はやく解決できたり,答えが出せたりした子には,「他の方法を考えてみてね。」とか「すばらしい。じゃあ,この問題はちょっと難しいけどできるかな?」などと,あらかじめ用意していた応用問題を提示したりします。(その問題は全員がその時間内で,できなくてもよい)
 まとめる段階では,すぐに結論を出すのではなく,2人ペアや4人程度の班ごとで話し合わせてから,それぞれ気付いたことを検討します。代表で発表する子は,“この時間にまだ発言していない子”という暗黙のルールをつくっておくと,スムーズに話し合いが進みます。
 最後は,練習問題(習熟問題)を全員で解いて答えを確認します。答えは,はやくできた2~3人→ヒントをもらってできた1~2人→全員といった流れでしっかり頭に入れます。ここでも一人一人を褒めることが大切です。普通はこれで授業を終えるのですが,私は最後に評価をしてもらいます。「◎・○・△」のどれかをノートに書いて,何が分かったのか,どこが難しかったのか,先生の教え方はどうだったかのか,のどれかひとつを簡単に書いてもらいます。
 そして,授業後にそのノートを集めて,できるだけその日のうちに「コメント」を書いて返します。このコメント書きがけっこう大変な作業で,ともするとはんこだけで済ましてしまう先生がいますが,そこをひとがんばりして「今日の発表はよかったよ」とか「最後まで考えたね」,「手を挙げていたのに当てなくてごめんね」など,一言書くことで,自分の授業の振り返りにもなります。何よりも子どもたちは,先生のその「一言」を励みにしてくれます。
 以上,スタンダードな流れですが,全員の子どもが参加でき,充実感・達成感をもてる授業を1日1時間でもいいので実践し,記録し,振り返ることで,自分自身の授業改善はもとより,子どもたちの成長が顕著にみられるようになります。それこそが,「教師の喜び・やり甲斐」につながると考えます。
   THe trick is to keep it fun! (コツはいつも楽しくやることである!)

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