2015年2月1日日曜日

「生命の大切さ」を語る


高校教諭のK.Oです。 
             
   昨年、佐世保の高校生殺害事件が起きた。同級生を解剖したいとの理由で、殺害してしまったのである。周囲に与えた影響ははかりしれないものがある。 

   私はかつて、生徒に「生命の大切さ」を語ったことを思い出した。
 

最近の17歳の事件

 最近、17歳やその年齢に近い青少年の驚愕するような凶悪犯罪が頻発している。
  「人を殺してみたい」とか「殺人こそ正義」等、いとも簡単に生命を抹殺してしまう、それらの青少年の心はどうなっているのだろう。現下の教育のあり方が、大きく問われているのは論を待たない。

 私は、担任する3年生のクラスで、次のような指導を授業のなかで実施した。
 

神性・仏性

  さて「生命の大切さ」について、どのような話をしたらよいかを考えていたら、私はふと、獄窓の歌人・島秋人のことを思い出した。  かつて谷口輝子先生が、生長の家の月刊誌で島秋人のことを取り上げられたことがあった。 

  谷口輝子先生は、こう書かれている。 

    私は今年になってからやっと、島秋人という獄窓の歌人が、11月2日に刑死したことを知った。何年前だったか、1人の青年が餓えの苦しさから農家に忍び入り、発見されてその家の主婦を殺したという新聞記事を思い出したが、その青年の名が島秋人とは覚えていなかった。(中略)貧乏で病弱で低能児で孤独な少年として、淋しくみじめに生い立って来た。彼は殺人という重罪を犯して死刑の宣告を受け、7年ほど牢獄にいたようであるが、彼は悲しい獄中生活の間に、幼い時からの苦しい辛い思い出を辿る時、ただ一つ小さい灯が心にともることがらがあった。それは中学校の画の先生が、彼の構図の出来が、クラス1番だと賞めてくれたことであった。(中略)低能児と言われた人の中にも、秀れた才能があったのであった。秋人の歌は大阪毎日新聞の歌壇に投稿され、選者の窪田空穂氏の眼にとまり、胸を打ち、それから空穂氏より作歌の指導を受けるようになった。(中略)

  ()ればなお(いと)しさ湧きていのちとはかくも尊きものと知らさる」
 
  「身に持てる優しさをふと知らされて神の賜はる生命を思ふ」

  「この手もて人を(あや)めし死囚われ同じ両手に今花を活く」

  「ほめられしひとつのことのうれしかりいのち(かな)しむ夜のおもひに」

(中略)33歳でこの世から消えたのであった。
   しかし彼の歌集『遺愛集』は遺った。この歌集によって、世の人々はさまざまなことを学ばせられたことと思う。   

 「人間は神の子であって低能児ではない」

  「如何なる重罪者といえども本来その性は善良であること」

 「才能は引き出せば幾らでも伸びること」

  「勝れた点を見つけては賞めること」

  「最大の深切は相手を認めて上げること」

    その他幾つもあるであろう。世の人々は、秋人の生涯を見て、教えられ反省させら
  れ、思いを深めさせられることと思う。 

  人の生命は皆尊いのであることを、生徒に訴えた。 

  さらに、谷口清超先生著『すばらしい未来を築こう』の42頁に書かれてあることについて、話をした。 

    今や人々は、人間を尊重しなければならないということを口々に言い立てる時代になっているが、その「人間」というものを、単なる小っぽけな「肉体」だけと思いこんでいては、本当に尊重はできない。肉体人間ではなく、神性・仏性が、あなたであり私であり、全ての人々であり、全てのいきものたちはこの神性・仏性のあらわれだと知ることによってのみ、本当の自由と歓びと生き甲斐とを感ずることができるのである。
 

明るい言葉・真理の言葉

  17歳の事件が頻発するのを見て、生徒に明るい言葉・真理の言葉が、圧倒的に必要であることを痛感せずにはいられない。
 生徒を取り巻く最近の情報、とくにマンガ本・雑誌・ビデオ等々の内容が、暗黒思想で覆われている。生徒の持っているマンガ本をたまに開いてみると、あまりにも暗く、残虐的なものが多いのには驚かされる。さらに性的描写のものも多くあり、子供達の健全育成にとり、きわめて害になるものである。 

 去る5月、私の担任するHRの生徒が、タバコ・ライター等を所持していたことから、4人が停学処分や厳重注意を受けた。私はこのときこそ、御教えを伝える絶好の機会であるととらえた。
  それには、真理の言葉を伝えることが第1であると思った。そこで、数日間の特別な指導期間が終わってから、『理想世界ジュニア版』(当時)の谷口清超先生のご文章を4人の生徒にわたした。後日感想文を書いて提出するように指導した。
  『理想世界ジュニア版』2000年4月号の「さわやかな笑顔」のタイトルのご文章である。4人のところ3人が提出した。その中の1人は以下のように書いてくれた。 

   言葉の力はとてつもなく膨大で影響力があるということが感じられた。言葉一つで他人や友人を喜ばせたり、傷付けたりできるので、その使い方を選んで使っていかなければならないと思いました。(中略)コトバの中で1番美しいのは笑顔だと感じたので、笑顔を絶やさずに、その笑顔を宝物にしていきたいと思っています。(O男) 

  このように感想を書いてくれた生徒の心には、神の子が輝いていると思った。非行はちょっとした見せかけであり、本来無いのであると思う。どの生徒もみんな神の子でかけがえのない生命である。素晴らしいものを持っている。
  また、この4人の生徒のうち、3人の生徒の保護者には『生命の教育』(谷口雅春先生著)を贈呈した。 

 青少年にどのような言葉が与えられるか。暗黒・唯物思想か、真理・光明思想か。これによって子供たちの人生・運命は、天と地ほどの違いとなって現れてくるのである。このことを思えば、一連の17歳の少年たちもまた、暗黒・唯物思想の被害者なのかもしれない。
  多くの青少年に光明思想・生長の家の御教えを、大々的に伝えなければならない時である。
                                     K.O

2 件のコメント :

  1. いいお話ですね。感想を書いた生徒さんは、気取らず飾らず素直に感じたことを表現されているところが、素晴らしい。だから大人の心にも響くのだと思います。

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    1. コメントありがとうございます。返信が遅くなり申し訳ありません。生徒は、真理(真実)を伝えれば、素直に響くものをもっていますね。

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