2014年7月5日土曜日

愛と讃嘆のことばで万引きを乗り越える


高校教諭のK.Oです。
 かつてのホームルーム担任をしたときの体験を綴ります。

 
D君の立ち直り

  D君は1年生のときに2回の万引きを繰り返しました。1回目は1週間の停学処分となり、2回目は数箇所の店での万引きで、またグループであったことから、無期停学処分となったのです。万引きの動機(理由)はいくつかあげられますが、主にこころのさびしさからと思われます。「愛されたい、認められたい、ほめられたい」という、こころのさけびがあったのでしょう。

 その直後、あまりの精神的ストレスから急性胃潰瘍で、約1ヶ月間入院することとなりました。劣等感、自信喪失が原因としてあったのです。本人は進路変更(他の学校の定時制へ行きたい)を意識し始めました。こころを閉じてしまい、周りの指導にも耳を貸さなくなってしまったのです。

 その後、校長はじめ生徒指導部、教育相談委員会の指導がはじまりました。私はホームルーム担任として、本人が入院している病院への訪問と、母親と話すために家庭訪問を繰り返し実施しました。

 母親との数回の面談の中で、D君の小さいころの様子を話してくれました。小学生の妹がいますが、本人には「長男であるから」と必要以上に厳しく叱責して育てたというのです。ある日の家庭訪問のときに、私は「子供さんをほめたことがありますか」と質問したことがあります。母親からは「ほめると図に乗り、つけあがるから、ほめることはしたことがありません」とのそっけない答えでした。

 それから数日後の面談の中で、母親は「自分の子育ての方法は、これで良かったのだろうか」と反省を述べるようになりました。私は生長の家の月刊誌を差し上げ、人間は神の子・仏の子で皆素晴らしい存在であり、無限の能力と個性を持っていることを説明し、D君の良いところをほめてやることをお願いして帰りました。私も病院訪問のときに、D君の優れているところをみつけて、「D君は根気強く、まじめで素晴らしい」とほめたたえて励ましました。

退院も間近になったころ、D君は日記に「反省をしっかりして、またやったりしないように自分の意志を強くもち、もう一度やりなおしていこう。(中略)親に心配をかけるようなことも絶対にしないようにする」と決意を記し、立ち直ることができたのです。

その大きなキーポイントになったのは、父母の愛情と、D君がそれを理解し感謝する気持ちになったことです。母親の考え方が変わり、息子が万引きで迷惑をかけた店に謝罪して回ったとのことでした。そしてそのことを後で聞いたD君が、父母にこころから「申し訳ないことをした」という気持ちになり、父母の愛情に感謝するこころになったのです。

D君は、2,3年と進級し、無事卒業することができました。そして、関東にある電気関連の会社に就職しました。
 

K君のチャレンジ
 
 1年生のはじめにタバコで処分を受け、同じ年のおわりごろに万引きで、また処分を受けることになりました。動機はD君と同じように、こころのさびしい思いを、物で満たそうとしたのではないかと思われます。父母とも出稼ぎで、祖父母との生活でした。

 K君は部活動(バレーボール部)を自ら責任を取って辞めてしまいました。レギュラー選手になれなかった無念を残したままです。その後しばらくの間、気持ちの落ち込んだ状態の日々が続き、勉強意欲も失いかけていたようです。 

私はホームルーム担任として、数回家庭訪問を行い、母親に生長の家の月刊誌を手渡し、K君には「大調和の神示」をワープロでつくり、繰り返し読むように指示して渡しました。とくに父母にはK君を信じ、良いところを認め、ほめることの大切さを説明しました。 

そのような中、周囲の励ましや父母の意識の転換により、K君は目に輝きを取り戻し、元気に学校生活を送るようになったのです。とりわけ2年生から、別な部活動(ボクシング部)に入り、チャレンジしました。毎日生き生きとして練習に励みました。その甲斐があり、県高校総体で第1位、インターハイで全国第3位の大活躍を遂げたのです。
 

わが家の体験

 ある年の夏、私は文部省(当時)の長期研修(東京)受講のため、約2ヶ月ほど家を留守にしました。9月の初旬、研修も終わりわが家に久しぶりに戻ったところ、長女(当時、小学6年生)が、学校に行かないというのです。家内もどうしたらよいかと困り果てていました。家内から事情を聞くと、学級でいじめられていることが、不登校の原因であるとのことです。学校には1日おきぐらいに行くのですが、行っても保健室で頭痛や腹痛を訴え、教室へ入れない様子でした。 

 私は家内とともに神想観を実修し、子供の実相を祈りました。しかしなかなか好転しません。そのようなとき学校で生徒指導を担当している関係で、教育相談の研修会に参加した折りに、ふと気がついたことがあったのです。「いじめは、外にあるのではなく、内にある」と。それまでは子供の通う学校に、その責任と解決を期待し求めていたのですが、そうではなくわが家の問題であることを、妻と深く反省しました。 

 4人の子供の中で、小さい方に親の目が行き過ぎ、上の子にあまりかまっていなかったのです。愛の表現が足りませんでした。その日、長女を前にして、家内と2人で「今までさびしい思いをかけて、すまなかったね」とあやまり、『甘露の法雨』を読誦してこころから懺悔しました。 

 すると不思議なことに、次の日から何事もなかったように、学校に行くようになったのです。「子供は、私たち親を導く観世音菩薩様であった」と、こころから感謝することができました。 

 今、いじめや不登校が大きな社会問題になっています。「生長の家の教育」こそが、混迷する教育問題を解決できる真理であることを信じます。「生長の家の教育」を実践し、大きく広めていきたいと決意しています。

                                        K.O

2 件のコメント :

  1. 寂しさからいろんな問題が出てくるのですね。この前、テレビでストーカーをしていた男を専門にカウンセリングをしている婦人が出てましたが、ストーカーをする人は、子供のころ親から虐待された経験があることが分かってきたそうです。親から強く否定された感情が潜在意識にあり、他人から否定されると怒りが爆発してしまうそうです。これも寂しさから発する問題です。

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    1.  コメントありがとうございます。

       佐世保の高1生徒の事件が、大きな社会問題になっています。このこととも関係があるのではないかと思っています。他にも原因がありそうです。被害者も加害者も、またそれぞれの家族も、大変なことと思います。可哀想に思い、皆さんが救われるようにお祈りします。

       佐世保の事件は、日本全国、全世界の青少年の問題でもあると考えています。人間・神の子、全ては一体の真理を多くの青少年に、教員に保護者に伝えなければならないことを、強く感じています。

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