2014年4月26日土曜日

算数が楽しくなる方法

小学校教諭のY・Sです。


 今日は学習指導のコツを1つご紹介します。算数というと,苦手意識をもつ人が多いとよく聞きますが,本当はとてもおもしろい教科です。そこで,子ども達を算数好きにさせる「魔法の数字」を次に挙げます。


 25100,4・125,8・1000


 これらの数字並びをを見てピンときた人は「数学者」です。小学校3年生になると2桁同士のかけ算,割り算,4年生になると割り算の筆算を学習します。そこで役に立つのが上記の数字です。
 25は100の約数で,100の中に4つ含まれます。数直線でイメージしてみてください。これに気付けば,25×4=100,100÷25=4とすぐに暗算ができます。これをもっと応用すると,
125×8は分配法則を使って,(100×8)+(25×8)=800+(100×2)=1000という暗算が可能です。子ども達には,「先生と計算の競争をしよう。」といって,125×8,1000÷125,などを即答すると,「え,何で?!」という驚きからすぐに食らいついてきます。そこで上記のような数の関係を説明すると「なるほど!」と感心してくれます。そして最後に私はこうまとめます。
 「算数というのは,別に難しい勉強ではないんだ。数という無限にあるものをどうやって楽に,分かりやすく使うかというゲームみたいなものだ。」と。数学が専門の方には異論があるかも知れませんが,子どもを算数好きにさせる1つの技術としてご参考にしてください。

2014年4月19日土曜日

春爛漫!野の花を愛でましょう!

小学校教諭のY・Sです。


 新年度がスタートして20日,1学期が始まって2週間ほどが経ちました。学校現場は相変わらず忙しいですね。「忙」という漢字は「心」が「亡くなる」と書きます。しかし,どんなに忙しくても「心」を亡くしてはいけないのが教育現場です。
 私は業間時間(2時間目と3時間目の間の休み時間)には,どんなに忙しくても子ども達と一緒に校庭に出ることにしています。今は春爛漫で草木も生き生きしています。「ほら,オオイヌノフグリ,ヒメオドリコソウ,向こうの木に咲いているゲンコツくらいの白い花はコブシだよ。」など,草木の名前を教えてあげると子ども達は喜びます。何より,私自身が気分転換になります。
 業間に校庭に出ることのメリットはまだまだあります。子ども達から授業では得られない情報を得ることができること。授業中には観られない子どものよさを発見できること。安全指導(特に低学年の)ができること。(万一,子どもがけがをしたとき,近くに教員がいたかいなかったかで,学校の責任の重さが全く違います)そして,一番は,他の学級担任の先生方がその時間に安心して丸付けなどの仕事ができることです。私はもう20年以上も学担をしているので,そうした「学級事務」をする時間を創り出すコツを知っています。
 先生方,忙しいとは思いますが,時には子ども達と外に出て,野の花を愛でたり,太陽の暖かさや,風のやさしさにふれてみませんか。きっと「ゆとり」が出てくると思います。

2014年4月13日日曜日

自己肯定感から大自然への感謝へと導く指導

小学校教諭のY・Sです。
今日はより具体的な指導法を書きたいと思います。
道徳や学級活動の時間に実践してみてください。Tは教師,Sは児童・生徒です。


T 「自分は大切にされていると思う人は?」
S 数人しか手を挙げません。
T 「では,今着ている服は自分で作りましたか?」
S 「いいえ。」手を挙げる人数が少し増える。
T 「今使っているノートや鉛筆,文房具類は誰に買ってもらったの。」
S 「そうだ。そういえば自分で揃えたものはひとつもない。」
T 「そう。みんなは大切にされているんだ。」


T 「では,みんなは目に見えない世界,つまり神様や大自然から大切にされているか?」
S 「・・・。」
T 「みんなはどうして生きていられる?」
S 「・・・。」
T 「難しいかな。では,何がなければ生きていられないと思う。」
S 「水。空気。太陽。食べ物・・・。」
T 「そうだね。普段は当たり前で気付かない多くのものにみんなは生かされているんだね。みんなが起きている間も,眠っている間も,一時も休まず心臓は動き,肺は呼吸してくれている。太陽はお礼を言わなくても,いつも暖かな光と熱を降り注いでくれている。みんなは,そのような大自然の一部なんだ。」


 子ども達の目は次第に輝き出し,中には合掌して空を拝み始める子どももいます。要は,如何に感謝すべきことに満ちあふれているかに気付かせる発問を吟味するかです。そのためには,教師自身が常に感動をもって日々の生活を送ることが大切です。それが日々の修養になると考えます。

2014年4月7日月曜日

教師は人を観るプロである

小学校教諭のY・Sです。


 最近,教職員の中に児童生徒・保護者・同僚との人間関係がうまくいかずに悩んでいる方が多いと聞きます。中でも,同僚との人間関係は子ども達にも影響します。
 そこで今日は同僚の先生方とうまくやっていく方法を私の拙い経験から書いてみたいと思います。 私たち教師は,「子どもの心に寄り添う」ことは当たり前のように口にしますが,案外同僚の先生方の心を慮るということを疎かにしがちではではないでしょうか。自分の仕事で精一杯で,周囲の先生が助けを求めていることに気付かないっことはありませんか?日本の「先生」は先進国の中でも雑務が多く,最も忙しい環境にあるのは事実です。だからこそ,職場では互いに思いやり「協働」することが必要です。例えば,PCが苦手な年配の先生が一人や二人いると思います。その様子を見たら,ちょっと自分の仕事の手を休めて,「どうかしましたか?」と声をかけてみてください。PCをうまく手名付けたらきっと「ありがとうございます。」と感謝されます。また,周囲の先生が行事などの準備に動き出したら,何を置いてもすぐに腰を上げて手伝うことは言うまでもありません。
 教師は「人を観るプロ」です。それは子どもだけが対象ではなく,教師同士においても言えることです。「困ったな。誰か手を貸してくれないかな。」というサインを出している先生がいたら,すぐに声をかけてみる。そういう姿勢を一番よく見ているのは周囲の先生であり,管理職の校長・教頭です。

2014年4月5日土曜日

「生命を尊重する」教育をー“天使の声”から学ぶことー

小学校教諭のY・Sです。


 平成26年度がスタートしました。新年度の立ち上げは大変ですが、新しい出会いがある4月です。今年度もよろしくお願いします。
 新年度最初の記事はかなり重い内容です。学校は、子ども達にとって「安全・安心」な場所でなければならないことをあらためて振り返り、「生命を尊重する」教育を強く推進してほしいと願う気持ちから・・・。
 以下は「埼玉県教育委員会」が2012年に作成した道徳副読本からの抜粋です。


 誰にも気さくに接し、職場の仲間からは「Mさん」と慕われていた。その名には、未来に希望をもって生きてほしいと親の願いが込められていた。Mさんは、地元で就職を望む両親の思いをくみ、4年前に今の職場に就いた。(2011年)9月には結婚式を挙げる予定であった。突然、ドドーンという地響きとともに庁舎の天井が右に左に大きく揺れ始め、棚の書類が一斉に落ちた。「地震だ!」誰もが飛ばされまいと必死に机にしがみついた。かつて誰も経験したことのない強い揺れであった。Mさんは、「すぐ放送を」と思った。はやる気持ちを抑え、Mさんは2階にある放送室に駆け込んだ。防災対策庁舎の危機管理課で防災無線を担当していた。「大津波警報が発令されました。町民の皆さんは早く、早く高台に避難してください」。Mさんは、同僚のEさんと交代しながら祈る思いで放送をし続けた。地震が発生して20分、すでに屋上には30人ほどの職員が上がっていた。すると突然かん高い声がした。「潮が引き始めたぞぉー」午後3時15分、屋上から「津波が来たぞぉー」という叫び声が聞こえた。Mさんは両手でマイクを握りしめて立ち上がった。そして、必死の思いで言い続けた。「大きい津波がきています。早く、早く、早く高台に逃げてください。早く高台に逃げてください」。重なり合う2人の声が絶叫の声と変わっていた。  津波はみるみるうちに黒くその姿を変え、グウォーンと不気味な音を立てながら、すさまじい勢いで防潮水門を軽々超えてきた。容赦なく町をのみ込んでいく。信じられない光景であった。Mさんをはじめ、職員は一斉に席を立ち、屋上に続く外階段を駆け上がった。その時、「きたぞぉー、絶対に手を離すな」という野太い声が聞こえてきた。津波は、庁舎の屋上をも一気に襲いかかってきた。それは一瞬の出来事であった。「おーい、大丈夫かぁー」「あぁー、あー…」。力のない声が聞こえた。30人ほどいた職員の数は、わずか10人であった。しかしそこにMさんの姿は消えていた。
  それを伝え知った母親のE子さんは、いつ娘が帰ってきてもいいようにとMさんの部屋を片づけ、待ち続けていた。Mさんの遺体が見つかったのは、それから43日目の4月23日のことであった。町民約1万7700人のうち、半数近くが避難して命拾いをした。5月4日、しめやかに葬儀が行われた。会場に駆けつけた町民は口々に「あの時の女性の声で無我夢中で高台に逃げた。あの放送がなければ今ごろは自分は生きていなかっただろう」と、涙を流しながら写真に手を合わせた。
  変わり果てた娘を前に両親は、無念さを押し殺しながら「生きていてほしかった。本当にご苦労様。ありがとう」とつぶやいた。出棺の時、雨も降っていないのに、西の空にひとすじの虹が出た。Mさんの声は「天使の声」として町民の心に深く刻まれている。
読者のみなさんが授業をするとしたら、どの内容項目でこの教材文を扱うでしょうか?私は4つの主な内容項目すべてで扱えると思いますが、中心価値は「生命尊重」であると考えます。読者のみなさんのご意見を聞かせてください。
 もう一度記します。「学校は安全・安心で生命を尊重するところである」と。Mさんのご冥福を祈ります。


 
 
 


 付記:埼玉県道徳副読本へのリンクはこちらです。
http://www.pref.saitama.lg.jp/uploaded/attachment/534944.pdf